22年前の未来予測を検証する

林にざくざくと踏み入る気持ちよさ。生まれてくるもの、しんでいくもの、みんな支え合っているね。

22年前、私は東京家政大学にて教学助手という肩書きで、社会調査実習の補佐をしていました。この実習では、学生たちはテーマの設定から調査の実施、報告書作成までを1年間かけて行います。テーマは「日本の未来2020年調査」。20年後の日本社会について、子ども、教育、女性、結婚、医療、政治・経済、通信、国際化、環境などにわたって予測してもらうものです。系統抽出法で抽出した学生と保護者を対象としたデルファイ法による緻密な調査は、見応えある報告書にまとめられました。先日私はこれを取り出し、タイムカプセルを開く気分で読みはじめたところ、大変面白く見入ってしまいました。
 当たった外れたと回答を見るのも面白いのですが、私はある質問に目を留めました。「20年後の世帯の形とその増減」を問うものです。この回答選択肢が「夫婦のみ」「夫婦と子ども」「夫婦と子どもと両親」の3択なのです。今や世帯類型の中で最多の「単身世帯」がありません。国の統計を見ると2000年の単身世帯は27.6%でしたが、2020年には単身世帯が38.1%と10ポイント以上増えています。20年の間に生涯未婚率も高齢者比率もさらに加速することは調査を担当した学生たちに想定外だったのかもしれません。また、当時は男女共同参画の気運が高かった時代、学生たちの調査では2020年の夫婦像として仕事も家庭も対等に協力し合う姿が描かれていました。実際の実現度はどうでしょうか。統計上では、彼女らのうち2割ほどが現在未婚です。

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